お花見とワイン
2018年3月30日
執筆者: 入交 功

みなさま、こんにちは!入交(いりまじり)です。
一気に春めいてまいりましたので、今回は通常のコラムとは別に特別番外編として、お花見をテーマに少しお話を…

今年は先週来のあたたかさで、サクラの開花が一気に進みました。
すでに花見酒を楽しまれた方も多いことかと思います。今週末は、あちらこちらで、満開のサクラを楽しまれるのではないでしょうか。
と、いうことで、「今の旬」「気の利いた」「女性が喜ぶ」を念頭にお花見にぴったりの差し入れワインを紹介したいと思います。

皆さまは「サクラアワード」をご存知でしょうか。サクラアワードとは、2014年に発足されました日本のワイン業界で活躍する女性がブラインド・テイスティングにより賞を決定する審査会です。市場の活性化に貢献すること、日本の食卓に合うワインを探すお手伝いをすること、ワイン業界で働く女性の活躍の場を広げるという、3つの大きな目標を掲げて活動をされています。
発表される時期(3月上旬)、サクラアワードの名前から、お花見のこの時期には受賞ロゴシールがついたボトルが店頭に数多く並びます。
今年も第5回サクラアワード2018受賞ワインが発表されました。今回は、延べ510名の審査員が、33カ国4,342アイテムのワインを審査、2014本のワインがダブルゴールド、ゴールド、シルバーの賞を受賞しています。
中でも「ダイヤモンドトロフィー」という全エントリーの中から1%にも満たない、93~100点の評価(ダブルゴールド受賞の中から選定)を受けた優れたワインがあり、そこから今日ご紹介するワインをセレクトしてみました。

まず筆頭にあげたいのはシュワシュワ乾杯のこちら。
フランシス・コッポラ ソフィア ブリュット ロゼ モントレー・カウンティ
映画監督フランシス・コッポラが娘ソフィアに結婚を記念して手掛けたシリーズとして有名です。
カリフォルニアでありながら、フランスのロワールやアルザス地方のロゼ・スパークリング・ワインのスタイルをイメージしたこのソフィア・ブリュット・ロゼは、シャンパンのように泡が強すぎず、繊細で優美。
軽やかな泡立ちと爽やかな酸味を持ち、フレッシュ感溢れるフルーツや花、スパイスの香りが感じられます。
受賞をした2016年ビンテージの色は淡いサーモンピンク。イチゴや赤スグリ、桃の香りに、紅茶やクローブなどのスパイスが感じられます。口に含むと、繊細な泡立ちと優美な果実の味わいが口いっぱいに広がり、爽やかな後味にはかすかにスパイスが香ります。
チャーミングかつエレガントな味わいと淡い色はお花見のアペリティフに最適です。お値段も3,500円前後とお手頃といえるのではないでしょうか。
チーズや生ハムやサラミ、スパイシーなチキン、軽くスモークした鴨などにも相性ばっちり。

2本目はやはり白。
JCB~ジャン・シャルル・ボワセNo.81 シャルドネ ソノマコースト
ニュイサンジョルジュのボワセ社で副社長を務めるジャン・シャルル・ボワセが米国に立ち上げたレーベルがJCB。日本でおなじみのクレジット会社ではありません(笑)ボワセの傘下には、モレ サン ドニを代表するドメーヌにして特級畑のクロ ド タールをモノポールとするモメサン、ジュヴレ シャンベルタンのレ ゼヴォセル、ドメーヌ ド ラ・ヴージュレ(ヴージョ、ミュジニー、ボンヌマール等)、シャブリで有名なJ.モロー エ フィス、ムルソーのロピトー、ブシャール エネ、伝統のネゴシアン、モラン ペール エ フィス等々… 歴史的なメゾンを傘下に収める若き旗頭がジャン・シャルル氏です。彼がただの資本投資家と異なるところは、ワインの品質向上に対してもおろそかにしないところ。契約する栽培家と畑の状態をデータベース化するなど先進的なことのほか、ビオ哲学に基づく耕作法としてトラクターに代わり馬を使用するなど、細部に渡る丁寧な試みも実施しています。「自然を尊ぶ」信条は、醸造過程においても見て取れ、発酵タンクは全て木桶を使用。葡萄は重力で発酵桶に落とされ、発酵後にはワインを痛めぬよう木桶から直接樽に詰められます。原則ろ過無しというこだわりも。
そんな彼がアメリカで手掛けているのがJCBのブランドです。造られたワインには彼にとって意味のある数字が割り振られており、受賞したワインは“81”。初めてカリフォルニアを訪れた際、素晴らしいブルゴーニュ ブランに勝るとも劣らぬシャルドネがカリフォルニアでも出来る可能性があると感動した年を示しているそうです。色は輝くような黄金色。密感のある熟した梨やマンゴーのような香り。キウイフルーツ、メロン、グレープフルーツのような味わいが特徴的で、樽の香りがバランスよく表れたカリフォルニアらしさを表現する仕上がりです。春キャベツなどの野菜グリルやお魚のソテーにバター・クリームを使ったソースを使ったもの、ポテトサラダなども相性が良いかと思います。
価格は少し上がって5,000円程。ビンテージ違いは3,000円台で購入が可能です。

3本目は赤。
迷って決めきれず…この2本です。
コノスル 20バレル・リミテッド・エディション ピノ・ノワール 2015
そうです、あの自転車ラベルでおなじみチリのコノスルです。こちらは少し上位クラスでラベルに自転車はありません。特に条件の良い畑の葡萄を使用した「20樽限定」という名の最高級シリーズ「20バレル」のピノ・ノワール。フレンチオーク新樽で11ヶ月熟成。エレガントな口当たりで、豊富なタンニンとこなれた酸味が絶妙なバランスを保ち、果実の凝縮感が印象的な飲みやすい一本。
決め手は価格。大きな生産者だけあり、このクオリティーが2,500円前後と時代のバランス感覚にぴったりと判断しましたのでおススメの1本に選びました。「20樽限定」という普段と少し違うコノスルというネタをぜひ肴にみんなでたっぷり飲めるワインです。

もう1本は対照的なしっかりめ、イタリアのワインから。
マルケーゼ・ディ・ヴィッラマリーナ・アルゲーロ2010 テヌータ セッラ&モスカ
イタリア南部では珍しいカベルネ・ソーヴィニヨン100%の熟成ワイン。
2013年にはワイナリー・オブ・ザ・イヤーを受賞したサルディーニャ島の「セッラ&モスカ」が造る逸品です。1899年、サルディーニャ島の領主であったヴィッラマリーナ侯爵家から土地を買い取り、ブドウの栽培を始めた歴史を持つイタリアでも老舗のカンティーナ(ワイナリー)、その名をワイン名に冠した“マルケーゼ・ディ・ヴィッラマリーナ(ヴィッラマリーナ侯爵)”は、いわばフラッグシップワインといえます。
その味わいは・・・極めてまろやかな口当たりと樽香とのハーモニーが絶妙な、バランスの良い逸品です。
カシスやベリーの濃厚な香り、クラシックなカベルネ・ソーヴィニヨンらしい清々しいミント・ココナッツのようなフレーバーと、オーク樽のバランスのとれた干草の香り。複雑で味わい深いワインです。
フレンチオークバリック(小樽)で18ヶ月、さらに伝統的な大樽で12ヶ月熟成。瓶詰め後、さらに最低でも18ヶ月以上熟成を経て初めて蔵出しされるという、贅をつくしたワイン。
価格は4,000~5,000円というところでしょうか。手間のかかっている割に、大変、値打のあるワインと言えましょう。青空の下、土や芝の香りと共に飲んでいただくことを考え、選定いたしました。
がっつり、煮込んだハンバーグやサルディーニャのペコリーノチーズなどと楽しんで頂けたらと思います。

サクラアワードの受賞にはまだまだたくさんのワインがあります。
カルディやイーオンなど量販店さんでもお取り扱いがあるようですので、ぜひ、ワインを選ぶときにはサクラアワードの丸いシールをご確認ください。過去の受賞のワインにも貼られているようです。
女性目線で選ばれたワインの数々、ご参考になれば嬉しいです。

今回は花見にちなんで「サクラアワード」から選出しましたが、本当はもっともっとご紹介したいワインもたくさんありますので、また、別の機会にご紹介できたらと思っています。
2018年春、今年のお花見が一番心に残る、楽しい思い出となりますように…今年のサクラに乾杯!

執筆者プロフィール

執筆者一覧

  • 中村元昭
  • 千葉悠平
  • 大石佳能子
  • 西井正造
  • 比永 伸子
  • 松政太郎
  • 在津 紀元
  • 田中香枝
  • 牧島仁志
  • 牧島 直輝
  • 佐々木 博之
  • 落合 洋司
  • 日暮 雅一
  • 入交 功
  • 内門 大丈
  • 太田 一実
  • 加藤 博明
  • 川内 潤
  • 河上 緒
  • 川口千佳子
  • 砂 亮介
  • 竹中 一真
  • 辰巳 いちぞう
  • 都甲 崇
  • 保坂 幸徳
  • 横田 修