パラリンピックが示した“ダイバーシティの扉”
2021年9月25日
執筆者: 辰巳 いちぞう

いろいろ物議を醸したオリンピック/パラリンピック東京大会。
いまなお、メダリストがテレビ出演をして、私たちを楽しませてくれています。

お恥ずかしい話ですが、この東京大会の開催によってオンタイムでパラリンピックを観る機会に恵まれました。今まではメディアの取り扱いも少なく、なんとなく避けていた自分もおりました。

記憶に新しいのがボッチャという競技で金メダルに輝いた杉村選手。
優勝後のコメントにはっとさせられるものがありました。

「障害者がすごいことをやっているのではなく、一人のアスリートとしてすごいと言われたい。ボッチャを広めていけたら」

障害というハンディキャップが区別や差別をつくっている社会があるのは、みなさんもよくご存じのことと思います。
私もパラリンピックを観ながら心のどこかで「こんな障害を抱えているのに」などという感覚で観ていたことは否定しません。
事実、メディアの扱い方も選手の紹介をするときに必ず「障害の経緯」を話します。
生まれつき~、○○の事故で~など。そこにモヤモヤしている自分もいたので、杉村選手の発言は、私のモヤモヤを一掃してくれるお話として印象に残りました。


住環境や社会インフラなど多くの場面で障害を抱える方用の設備を整えなければいけないので、ある程度の区別をしないといけないことはあると思いますが、周囲の我々もその区別をするのではなく、障害という何かの比較ではなく、ひとつの個性として受け入れられる社会が実現すればいいなと思います。

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認知症もかつては「うちのおばあちゃん、ぼけちゃった」くらいのものだったと記憶しています。幼少期に祖父が今で言う認知症になりましたが、家族の反応は比較的ポジティブで、まさに「うちのじいちゃんがぼけちゃった」のノリで会話になっていました。

後に、痴呆症から認知症に変わり病気として認識されました。
当時の記憶から私はまだ認知症が病気と言うよりは、現役を引退して老いが進んで、いろいろなことをいちいち覚えていていなくていい。あるいは社会の喧噪から離れてもいいよという新しい個性や機能を与えられたものだという見え方もします。

この認知症コラムのお話をいただき、この認知症というものも人の個性や機能として認識されるようになると、多くの問題も認識の仕方が変わるような気がします。

パラリンピックを観て、ダイバーシティへの認識が上がったことと、高齢化していく日本社会におけるダイバーシティは少数派擁護のためにあるのではない言葉なのだと自身を改めるきっかけになりました。

執筆者プロフィール
辰巳 いちぞう Ichizo Tatsumi
チームReturn & Repay発起人。
営業戦略系コンサルティング会社“株式会社SGOソリューションズ”代表取締役。
中小企業コンサルティング事業を営む傍ら、地域経済の活性化や
少子高齢化問題にも取り組み。

【個人としての取り組み】
高齢化していく社会への対応力を高める
医療・介護従事者向けの取り組み「チームReturn & Repay」主宰
医療法人湘南みらい 監事/介護部門役員
神奈川県大磯町 大磯地方創生事業推進コンソーシアム参画
神奈川県未病産業研究会 会員

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