男性看護師としての私の経験録
2022年6月4日
執筆者: 牧島仁志

私の訪問看護経験を書かせていただきます。

利用者紹介:ガン末期、女性。夫と娘様の三人暮らし。病院を退院し、在宅療養へ移行となり、訪問看護・往診導入し介入開始となる。

男性看護師である私は、下のケアは羞恥心を考慮して娘様に依頼。その他のできる限りの身体ケアを同居の娘様と実施することとなった。

ある日、往診医への不信感が募るとともに、私のターミナルケアへの至らなさから、男性看護師だからという理由で訪問看護の介入が終了となってしまった。

とても凹んだのを今でも覚えています。

元々のかかりつけ病院であった緩和ケア認定NSにも継続看護ができなかったことについて怒られたことを覚えています。

それから数か月が経過したころ娘様から直接、私の訪問看護ステーションに連絡があり、私に再度在宅看取りの支援をしてほしいとのことでした。

他の訪問看護ステーションを利用したが、どうやら合わなかったとのことでした。

電話連絡をもらったその日のうちにすぐに介入を再開したが、利用者様は意識朦朧としており、何とか私がわかる状態であった。

当日介入してみると、同居しているはずの夫が不在。理由を聞くと入院しているとのこと。

利用者様の状態を確認すると、ターミナルの状態で日にち的な余裕はないと判断した。

娘様の同意を得て、夫の入院する病院へ利用者様の状態を報告するため面会に行った。

夫本人は入院しているため、妻の在宅看取りの立ち合いできないことは覚悟していた。

夫本人から病状を聞き、外出は可能ではないか?と思ったため、夫の同意を得て入院病棟の看護師、医師へ家族の状況を説明させていただき外出の判断を仰いだ結果、何とか翌日朝に外出帰宅できるようになった。

翌日、心配だった私は朝から訪問看護介入させていただくと、無事に夫は病院から外出帰宅できていた。

いつも通り、看護ケアを娘様と実施しているとき、呼吸が休み休みの状態になる。

夫の帰りを待っていたのでしょう・・そのまま、家族立会いの下、息を引きとられました。

その後、家族と共にエンゼルケア、かかりつけ病院の緩和ケア認定NSに経過報告をさせていただきました。

最後は49日経過頃に家族に対するグリーフケアで訪問させていただきました。

家族は、「これでよかったのかな」等の後悔があったようです。

家族が決定することに間違いはなく、私たちは家族の決定に沿って支援していきます。

意思決定において訪問看護に出来ることは、アドバイスのみで決定は本人家族であることを忘れてはならない。

また、利用者様と家族への看護は慎重にかかわる必要があることを改めて学びました。

看護師にとって、必要とされ求められることにやりがいを感じた経験でした。

皆様は、どんな職場で、どのような介護・医療を目指して働きたいですか?

自身がどうしたいのか?を大切に、すべての介護・医療従事者を笑顔にできるよう人材紹介・コンサルティングとして一緒に考えていけると幸いです。

執筆者プロフィール
牧島 仁志 Hitoshi Makishima
看護師
株式会社BgA
専務取締役
看護師・人材紹介アドバイザー

2021年11月に株式会社BgAを設立し、訪問看護ステーション等の医療機関コンサル業を開始。
2022年3月より医療職向け有料人材紹介業開始。

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