薬をきちんと飲むコツ、知っていますか?
2025年8月17日
執筆者: 内山一成

こんにちは。湘南辻堂薬局で薬剤師をしております、内山一成です。
日々、地域の皆さまと接する中で、「薬を飲むのがちょっと苦手で…」「忘れてしまうことがあるんです」といったご相談をよく耳にします。

そこで、先日行われた藤沢市市民公開講座でもお話ししました「薬をきちんと飲むためのコツ」を、湘南元気レシピでもご紹介したいと思います。
皆さんの毎日の健康づくりに、少しでもお役に立てればうれしいです。

さて、「薬をきちんと飲む」とは、どういうことでしょうか?
単に「飲んでいる」だけではなく、医師の指示通りに飲む(朝食後、毎食直前、空腹時など)ことができる、毎日継続して飲み続けることができる、そして自分に合った管理方法で飲むことが大切です。

たとえば、薬をそのままシートから取り出して飲む方もいれば、ピルケースや服薬カレンダー、一包化(薬局でまとめて袋に分ける方法)を活用している方もいらっしゃいます。

さらに大事なのは、ストレスなく、むせることなく、安全に飲めているかということです。

実は、薬を飲む動作は「固体(錠剤やカプセル)と液体(水など)を同時に飲み込む」意外と難しい動きです。
加齢や体調によって飲みにくくなる場合もありますので、ご自身に合った工夫を取り入れることが重要なのです。

もし薬が飲みにくいと感じたときは、無理をせずにご相談ください。

例えば、服用回数を減らせる場合もあります(1日3回から1日1回に)。
また、剤形(ざいけい)を変更して、口の中で溶けるOD錠にしたり、カプセルを錠剤に変えたり、複数の薬を一つにまとめた配合剤に変更することも可能な場合があります。

飲み込みやすさを改善するために、市販されている服薬ゼリーやオブラートを利用する方法もありますし、簡易懸濁法(錠剤やカプセルを事前にぬるま湯に溶かして飲む方法)を取り入れるケースもあります。
この簡易懸濁法は約8割のお薬で対応可能とされていますが、適さないこともありますので必ず医師や薬剤師と相談しながら使いましょう。

一方で、自己判断で薬の飲み方を変えてしまうのはとても危険です。
効果が出ないことでかえって薬が増えてしまったり、薬剤性フレイル(薬の副作用で身体の機能が弱ってしまう)につながることもあります。

例えば、抗精神病薬、抗不安薬、抗うつ薬、抗てんかん薬などは中枢神経に作用して嚥下反射を低下させることがありますし、抗ヒスタミン薬や抗コリン薬は唾液が減って口が乾き、飲み込みにくさにつながる場合もあります。

こうしたリスクを防ぐためにも、薬局の薬剤師に気軽にご相談いただくことがとても大切です。
湘南地域の薬局は、処方せんがなくてもふらりと立ち寄ってご相談いただけますので、ぜひお気軽に声をかけてくださいね。

最後に、あらためてお伝えしたいのは、
「きちんと薬を飲めている」状態とは、医師の指示通りに服用が出来て、ストレスなく安全に、継続して飲めていることです。

自分の生活スタイルや体調に合った工夫を取り入れ、無理なく続けていきましょう。
これからも地域の皆さまの健康づくりを、私たち薬剤師がしっかりサポートしてまいります。

どうぞお気軽にご相談ください。

執筆者プロフィール
内山 一成 Kazunari Uchiyama
一般社団法人藤沢市薬剤師会 常務理事 
神奈川県薬剤師会 代議員
外来がん治療認定薬剤師
認定実務実習指導薬剤師

<略歴>
平成24年3月 昭和大学(現 昭和医科大学)薬学部卒業
平成24年3月 聖マリアンナ医科大学病院薬剤部
平成28年4月 株式会社ネクサス 四之宮薬局 
平成29年8月 伸和株式会社 湘南辻堂薬局

<所属学会>
日本薬剤師会
日本臨床腫瘍薬学会

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