みなさん、「医療福祉連携士」という資格をご存知でしょうか?
医療職と介護・福祉職との連携を調整できるエキスパートの人材育成を目的に日本医療マネジメント学会が、2010年から認定している資格です。
全国に約600名の有資格者がおり、有資格者の職種は医師、看護師、保健師、薬剤師、社会福祉士、介護支援専門員、介護福祉士などで、その所属も病院、診療所、介護施設、地域包括支援センター、企業など多岐に渡ります。
国が2025年を目途に構築を進めている地域包括ケアシステムでは、医療職と介護・福祉職、さらには地域住民が一体となって活動することが求められています。
そのような背景で生まれたのが、医療福祉連携士とも言えます。
筆者は製薬企業に勤務していますが、現場で医療職と介護・福祉職との考え方の違いを感じることがあります。例えば医薬品に対して医師などの医療職は、有効性(安全性が高いことを前提として)を重視する方が多く、一方、介護・福祉職は有効性よりも、飲みやすさや、副作用が少なくQOLを損なわないことなどを求める傾向があります。医薬品に対する考え方ひとつ取ってもそうですが、多くの場面で医療職と介護・福祉職では、考え方や価値観の相違点があります。
その要因の一つとして医療職は「治療」を、介護・福祉職はその人の「生活」を優先的に考えているからだと思います。
患者さんや地域住民の健康寿命の延伸やQOLの向上といった目的に向かって、考え方や価値観の異なる職種の人間関係・利害関係を調整し、連携を進めることが医療福祉連携士の主な役割です。
では、医療福祉連携士に認定されるまでの過程をご紹介します。
医療福祉連携講習会を受講する必要がありますが、そのカリキュラムは主に二つの柱があります。一つは座学で、もう一つは実地研修です。座学はヘルスケア領域の各分野の第一人者の講義を受けます。内容は医療制度、在宅医療、地域包括ケアシステム、疾患、ケアマネジメントなど多岐に渡ります。
実地研修は、急性期病院、診療所、介護施設、地域包括支援センター、保健所などで、さまざまな職種に付いて回りながら、その職種の役割と業務の実際を学びます。
そして最後に認定試験(マークシート式)に合格し、規定の条件を満たすと医療福祉連携士として認定されます。
講習の過程で学んだことが、自身の活動にも大変役立っています。(認知症コラム「私の連携サポート人生~多職種連携編~」をご参照下さい)
定期的に「医療福祉連携士の会」(医療福祉連携講習会修了者の集まり)の主催で、医療福祉連携士フォーラムや医療福祉連携士の会研修会が行われており、研鑽や全国の会員同士の交流の場となっています。
医療職で介護・福祉のことも勉強したい方、介護・福祉職で医療のことも勉強したい方、事務職で医療、介護・福祉のことを勉強したい方、あるいは全国に仲間を作りたいと思っている方に受講をお勧めします。
医療、介護、福祉に関わる仕事をされている方なら、誰でも受講できます。
ちなみに2023年度医療福祉連携講習会(第12期生)の募集期間は、7月31日までとなっています。
このコラムをご覧頂いた方の中から一人でも、医療福祉連携士の仲間が生まれることを
期待しています!
詳細はこちらの日本医療マネジメント学会のホームページからご確認下さい。
日本医療マネジメント学会>>>