火曜日の夜、平塚からペルー料理を食べに行こう!とお誘いしたはいいものの、今日は開いているというレストランに電話をかけても繋がらない。
ヨシキはいい加減だなぁと言われる頃合いである。グーグルマップでそのレストランは月曜日だけ定休で、今日はやっていると書いてあるのに、あぁこれはお店の人が作ったものではないのかも。圏央道はすいていて、渋滞する厚木の中心地を通ることなく20分で愛川町に入る。時折街灯の明かりに桜が照らされて見える。
焦って調べると、あとで激甘デザートを食べに行こうと思っていたla miel(ラ・ミエル)も、小さなダンスホールみたいにド派手でBGMがデカくて料理の質を疑うが、ここの鶏の丸焼きにはおそらくどのレストランも敵わないNays Restobar通称ナイスも、火曜日は定休とか、持ち帰りのみとか、いや焦る。そして本丸のRestaurante Tiki (ティキ)さえも電話に答えてくれないのだ。
某公立病院の連携室を立ち上げて地域医療支援病院のタイトルをとった者として、開業医の先生に失礼があっては恥とおもいつつ、その当の先生に、カツ丼でもラーメンでもいいよ、あの国道沿いの一二九って書いてある食堂は?惹かれるねぇと言われて、いや、そんなフォロー入れていただいても、いや、意地でもなんとかしなければと思いつつ、右手に見えたティキは案の定真っ暗だった。黒い外装で中には薄明かり、非常灯かなんかだろう。いや参った。それではと、昔から知っていてなかなか寄ることのなかったSabor Latino(サボル・ラティーノ(南米の味))に望みを託して電話をかけてみた。
Hola, buenas noches. Sabor Latino tiene restaurante como antes?
「こんばんは、サボル・ラティーノは前のようなレストランやっていますか」
No, pero se puede comer Lomo saltado o pastel,
「いえ、でも、ロモサルタードとかパステウとか食べられますよ」
ここしかないと決断し、そこから5分のサボル・ラティーノに向かった。
愛川町に決める前に、私は一番押しの鶴見のKOKY’sに連れて行きたかったのだが、グーグルマップでは臨時休業と書いてあった。
または湯河原の荒井商店もいいかなと思っていたが、夜はおまかせコースなどと書いてあって、店主自ら仕入れたり、釣ってくる魚次第だったりなどと書いてあって、それはまた次回かなぁと思っていた。
真っ黒になりつつある愛川町に何もなければ、22時までやっている、横田基地近くのTexMex料理のMike’sまで、圏央道にまた乗ってもらおうかなという最悪のシナリオも考えてはいたが、食堂一二九は私の感覚がちょっと許さなかった。
サボル・ラティーノは、駐車場がアスファルトで整備されていて、くっきりと線が引かれ、たてに5台駐車できるように変わっていた。
中に入ると、そういえば前からあった1階の左手奥のカウンターと小さなキッチンに男性の店主が立っていた。
お店の人は一応日本語を話せて、ロモサルタード(ジャガイモ、玉ねぎを炒め、赤ワインで甘目に味付けしたもの)と、パステウ(ベーコンやチーズなどが入った、でっかい天ぷら)、コシーニャ(コロッケのようでもっと表面のつぶつぶが小さく、中もクリーミー)を作ってくれるという。
料理ができるまで、スーパーのような店内には日本のスーパーにはない南米の食材がいろいろ。ブラジルでは定番のカリオカ豆、ピーナッツのお菓子や、アルファホールという、キャラメルクリームが入ったやわらかいビスケット、マテ茶や、アルガロビーナという栄養たっぷりの黒い果実の液体や、ワインも豊富であった。
さきほどのロモサルタードを作るのに、シェフは、肉のショーケースから牛肉をとりだしてきて、その場で切り分け、ジャガイモも、冷凍フライドポテトを使うのではなく、その場で切って揚げてそれを使うなど、切り分けたときがおいしいというシェフのこだわりが生きている。
一緒にいったみなさんからは、片道約30時間かかる南米に30分でとってもおいしい小旅行ができたとの感想をいただいた。
あなたも湘南から30分の愛川町に、
¿Esta abierto hoy dia?
今日やっていますか?
と電話してから、南米への小旅行に行ってみませんか?