ワインの基礎知識~赤ワイン
2017年11月7日
執筆者: 入交 功

みなさま、こんにちは!入交(いりまじり)です。
早いものでもう11月、5回目のコラムとなりました。晩秋、実りの季節ですね。

今回は収穫の秋にぴったりのワインの基礎知識~赤ワインについてです。
前回、白と赤の違いで、赤ワインは「ブドウ・造り方の違い」によってできることをお伝えしました。
今日はその赤ワインで使う代表的なブドウとどのような特徴があるかをお話したいと思います。

赤ワインは黒ブドウを使用して皮と種を一緒に果汁を絞り取り、一緒に漬けこむことで、赤い色になることは前述しましたね。
また赤ワインは熟成することによって、味わいや香りに複雑性と奥行きが生まれてきますが、全ての赤ワインが魅力的な味わいに変化するわけではありません。ワインには、それぞれ最もおいしくなる「飲み頃」と言われる時期があり、熟成に向かない早飲みタイプ、20年たってようやく青年といった長熟タイプもあります。それぞれ飲み頃を知る事でワインを美味しく楽しむことができるのです。身体によいとされるポリフェノールについても、白ワインより赤ワインのほうが圧倒的に多く含まれるのも特徴の1つです。
白ワインの飲みやすさにくらべ、赤ワインは苦手という方も多いかと思いますが、ワイン愛好家の方は、圧倒的に赤ワインを好む傾向にあります。私見ですが、これは長期熟成できる楽しみと、複雑な味わいに答えがあるかと思われます。赤ワインはブドウの皮や種ごと発酵させるため、白ワインに比べて味わいや香りが複雑になり、奥行きのあるワインに仕上がります。また、白ワインにはない、長年にわたり飲み続けることによって感じられる旨みやコクなど様々な味や変化が楽しめるのも赤ワインの醍醐味です。
若いワインと熟成させたワインとの味の違いや、タンニン、渋みも含めて、圧倒的に赤ワインの方が語れる事が多く、また、人生観を投影しやすいこともワイン愛好家たちに愛される所以ではないでしょうか。

では、赤ワインの代表者の味わいを紹介してまいりましょう。
【カベルネ・ソーヴィニヨン】
赤ワイン用ブドウ品種の代表です。フランス・ボルドー地方の赤ワインは、カベルネ・ソーヴィニヨンが主要品種として使われています。カベルネ・ソーヴィニヨンから造られるワインは、渋くて濃厚でガッシリとした味わいが特徴です。香りはブルーベリーやバイオレットのようにフローラルな香りがあります。
みなさまの良く聞き覚えのある、「美味しい」「名品」と呼ばれているワインはこのブドウを主体に造られているものが多くあります。フランス・ボルドーだけでなく、近年目覚ましく素晴らしいワインを産出しているアメリカ・カリフォルニア州やニュウーワールドの代表チリなど幅広い地域で造られています。
先程「主体に」と書かせていただいたのは、赤ワインは主体となるワインに他の赤ワインをブレンドして造り上げるものが多く、だからこそ、味わいが多種にわたり魅力が増すということもあります。
そんな中、100%カベルネで造る珍しいワインも存在します。
7世代にわたり守り継がれてきた家族経営の伝統ある「シャトー・ラ・フレイネル カベルネ・ソーヴィニョン」。オーナー兼醸造家のヴェロニク・バルト氏が特に優れた区画のブドウを厳選して造られた特別なワインです。フレンチ・オークのリッチな香り、凝縮した豊かな果実味を楽しめる、力強い味わいが特徴です。

【メルロー】
フランス・ボルドー地方発祥の赤ワイン用のブドウ品種です。カベルネ・ソーヴィニヨンに比べて、酸味やタンニンが強くなく、まろやかで果実味たっぷりのワインが多く、親しみやすい味わいが特徴です。香りは、プラムやブラックベリーやフルーツケーキなど、黒い果実の香りがあります。ボルドーの中でも特にサンテミリオンとポムロールの多くの偉大なワインに使用されています。カベルネ・ソーヴィニヨンのワインとブレンドして口当たりにふくらみを与えたり、コクを補強したりとブレンドでの役割の多い品種でもありますが、近年、このぶどうを100%使用したオーク熟成フルボディタイプの新生ブランドに高評価があがっています。
ボルドーにとどまらず、イタリア、チリなどでも盛んに栽培されるようになってきました。
安旨ワイン帝王として知られるジャン・クロード・マス氏が手掛けるレ・ドメ-ヌ・ポール・マスでも「イル・ラ・フォルジュ メルロー」という100%メルローのワインがあります。なめらかな口当たり、エレガントで果実味もたっぷりでおいしいです!

【ピノ・ノワール】
フランス・ブルゴーニュ地方を原産地とする赤ワイン用のブドウ品種です。ワインの色合いは薄く明るめで、華やかで魅力的な香りと複雑な味わいが特徴です。カベルネ・ソーヴィニヨンとは対照的で、タンニンは少なく、酸味はしっかりとあります。ベリーやチェリーを思わせる小粒の果実から感じるフレッシュな香りがあり、また、熟成させることで、香りにスパイシーさが現れ、なめし革のような香りを感じるようになります。
フランスだけでなく、最近活躍目覚ましいアメリカ・オレゴン州でも生産が盛んです。
「ゴットファーザー」の監督で有名な「フランシス・コッポラ」監督が所有するワイナリーで造られた「ヴォトル・サンテ(貴方の健康に乾杯)」は、コッポラ監督の祖母に捧げるオマージュ。フランス領チュニジアで生まれたイタリア人のため、乾杯は必ずフランス語で行っていたことからこの名前がつけられたそうです。
味わいはとても上品で、優しい柔らかさを感じさせるピノ・ノワール。10ヶ月間フレンチ・オーク樽で熟成させた本格派ですが、こちらはあまり熟成せず早飲みしてしてフレッシュ感を楽しみたいワインです。

代表的な3種類のブドウと味わいをご説明しましたが、実はあと2種類「ガメイ」「シラー」を加えた5種類を機会があれば比べていただきたいです。
ガメイはボジョレーヌーボーに使われるフレッシュなもの、シラーはフランス・ローヌが原産の力強くスパイシーなタイプです。日本ではオーストラリアのものが有名ですね。
この5種類を比べて頂くと、みなさまの赤ワインの味の方向性が見えてくるかと思います。
今まで赤ワインが苦手と思っていた方も、発見があるかもしれません。
単一品種100%のものは見つけづらくても、ブドウの比率がラベルや商品表示に書いてあります。ぜひ楽しみながら見つけてみてくださいね!

秋が深くなり、赤ワインがぴったりの季節がやってきました。煮込み料理やグラタン、チーズ。きのこやかぼちゃ、ラフランス・柿・りんご・栗・・・考え出すときりがありませんね。次回は12月。パーティシーズン到来という事で、とっておきの一本とお料理についてお話します。・・・今日も良い1日に乾杯!

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