音楽は不思議なパワーを持っているNo.9 〜注目の、“音楽鍋的認知症サミット”〜
2024年11月4日
執筆者: 在津 紀元

「13年+28年=41年」

地域密着型の生活情報発信と音楽を届けるがコンセプトの「コミュニティFM局」第一号は、1992年に函館で開局した「FMいるか」。レディオ湘南は1996年4月28日に全国で31番目のコミュニティFM局として開局し28年目を迎えている。

1980年頃からアメリカの西海岸に点在しているFMラジオ局を真似て、遊びの最先端を楽しむ当時の若者の間で「ミニFMラジオ放送局」という遊びが原宿や澁谷周辺から始まった。ちょうどその頃に「僕たちのニューメディアはこれだ!スーパーウエーブ・ハンドブック」(CBSシニー出版)というムック本の企画編集制作に携わる機会を得て、私が参加したのは「ミニFM局で遊ぼう!」というテーマだった。

これが私の放送遊びの引き金となり、1983年11月に遊び心の具体的な表現手段として「親子三人のミニFMラジオ局・FMつっぱりFamily」を自宅の仕事部屋に開局。13年間に渡って放送し放送回数1000回を達成した。

これが多くのマスメディアで紹介されたことから、レディオ湘南開局準備室から参加要請があり参加を決めたので自宅の「ミニFM局」を閉局。
レディオ湘南での私の初マイクは、開局した翌週の日曜日5月5日であった。以来毎週マイクに向かって「ざいつ流で選曲した音楽とおしゃべり」を続けて今日に至っている。自宅でのミニFM局で13年。開局から参加のレディオ湘南で28年。合計すると41年間に渡ってマイクに向かっている。


13年間に渡って遊んだ家庭内のミニFM局・・



「ざいつきげんの音楽鍋」の出前始まる

少年期から青年期にかけて、ラジオの深夜放送のデスクジョッキー番組やFEN(現・AFN)で育ったこともあり多岐にわたる音楽情報はもとより、ラジオの面白さ楽しさを体験していたことが私の大きな財産となっている。“遊び心と、良質の音楽は心のエネルギー、愉しくなければラジオじゃない”これが私の番組創りの基本であり昭和の香りがする番組としてリスナーと共に楽しんでいる。

毎週日曜日の18時から放送している「ざいつきげんの音楽鍋」は基本ターゲットを家族に置き、ラジオ番組の原点である、楽しく聴いてくれなければラジオじゃない❣常に提案がなければ聴かれない❣を意識して番組を企画している。「親しまれ・聴いていて楽しく・聴いていて飽きない・これが、ミニFM局時代から今日まで41年間不変の「音楽鍋」のマーケティングコンセプトである。近年は高齢化社会に向けて、ささやかな社会貢献が出来ないものかと模索しながら、昭和にどっぷりつかって生きてきた一人として、昭和を彩った「様々なジャンルの洋楽や流行歌」にスポットを当てながら番組を続けている。これが功を奏して高齢者施設や、出身校の校友会・熟年向けの講演会などから声がかかり、生放送スタイルで楽しむ「ざいつきげんの音楽鍋」の出前にも取り組んでいる。

定期的に行っているのは、地元の鵠沼公民館主催で「ざいつきげんの音楽元気講座」を2015年からスタートし2025年に10周年。後期高齢者を中心に毎回100名近い参加者と、ささやかな社会貢献という気持ちで昭和を彩った音楽とおしゃべりで楽しんでいるが、同世代と音楽を通して楽しみを共有する事も、認知症の発症を遅らせる回想法に役立っていると思えば嬉しい事である。

内門大丈先生との出会いから始まった“音楽鍋的認知症サミット!”好評発信中❣

2017年頃にひょんなことから内門大丈先生とのご縁が生まれ、時々お会いして音楽談義をしているうちに、音楽療法の現状や音楽を効果的に使って、認知症とともに生きるフレンドリーな社会のために役立つ、新しいことを考えたいと話が盛り上がった。様々な構想を重ねてきた成果として2020年に「認知症フレンドリーな社会のために~528H2の音楽の力」という実験的ツールとしての音楽CDが誕生し注目を集めた。

当時の私は認知症に最も近い後期高齢者。内門先生とお会いする度に認知症に関した様々な学びから興味が湧き、ラジオ番組の出前で高齢者に音楽とおしゃべりで気分転換と明日への元気を届けるという高齢者貢献とは別に、ラジオ番組で認知症に関した具体的な情報発信が出来ないものかと色々思いを巡らせていた時に思いついたのが、内門先生の生出演で番組内に「音楽鍋的認知症サミット」というテーマのコーナを設けるというアイディアが生まれた。

・・これまでのテーマの一部を紹介しよう・・
・01回~認知症についての基礎的知識(2019・11・24)
・06回~コロナ下における認知症対策
・08回~デュアルタスク作戦で認知症の遅延対策
・11回~自分ごととしての認知症~今を大切にする方法
・14回~メモリーケアクリニック湘南と認知症
・17回~様々な認知症情報に惑わされないためのポイント
・20回~加齢による物忘れと、認知症の違い
・25回~認知症のリスクを下げるチェックポイント


1・音楽鍋的認知症サミットの番宣(告知)
2・音楽鍋的認知症サミット25回目が終わって

早速内門先生に提示したところ、認知症に最も近い85歳のD.Jが自ら、認知症に関する情報発信している例はないと思うので喜んで協力しますと嬉しい返事を頂いた。15分から20分程度の短い時間ではあるが、認知症の理解促進と関心の醸成に役立てば嬉しい。鉄は熱いうちにという事で、「音楽鍋的認知症サミット」の記念すべき一回目は、音楽鍋通算1509回目の、2019年11月24日。

テーマは「認知症についての基礎的知識」を解説して頂いた。リスナーから、ラジオ番組の音楽鍋で認知症を取り上げるとは素晴らしいし勇気のいる事!という励ましのメールが届いていた。10月20日で25回と回を重ねている。「音楽鍋的認知症サミット」は、ラジオ番組「ざいつきげんの音楽鍋」の続く限り回を重ねることで、ささやかではあるが、認知症に対する関心や問題意識の広報活動の一助になればと、そんな気持ちでこれからも挑戦し続けたい。

執筆者プロフィール
在津 紀元 Kigen Zaitsu
1964年東洋大学社会学部卒業と同時にコピーライターとして広告界へ。
マーケティング&クリエイティブ会社を立ち上げマーケティング戦略企画やイベントの企画構成演出を多岐にわたって手がける傍ら、専門学校の常勤講師や大学等で講義や講演、執筆活動などコミュニケーションマルチプレイヤーも70歳で現役を終えた。
現在は、情報発信を続けることで様々な刺激を受けながら雑文の執筆や、忘れたころに依頼される時々の講演や、レディオ湘南で毎週日曜日の『ざいつきげんの音楽鍋』のマイクに向かっている。
ミニFM局時代が13年。レディオ湘南で26年。通算すると地元でマイクに向かって39年。伝説のDJと云われている由縁である。

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