音楽は不思議なパワーを持っているNo.1 〜在津紀元と二つのクリスマス〜
2023年12月16日
執筆者: 在津 紀元

1・クリスマスde~パリの記憶

殺伐とした雑踏の空気を浄化するように輝いている、師走のシンボルである街角のクリスマスイルミネーションが、37年前の記憶を呼び戻してくれる。

1986年の12月24日のことである。

バンドーム広場まで3分ほどのところにある「ホテル ロティ」から、コンコルド広場を抜け、フランクリン・ルーズベルト駅のある交差点をすぎると、シャンゼリーゼ通りの入り口。通りの左右を染め抜いているクリスマスイルミネーションが眩しい。凱旋門に向かって右の通りを10分程歩くきバージン・メガストアのネオンに引き寄せられ店内に入った。タニヤ・タッカーのウインター・ワンダーランドが流れていた。ライトなカントリーサウントが、パリのクリスマスを小粋な遊び心で演出している。23時を廻っているのに店内は超混雑。人垣をかき分けながら目的のクレモンティーヌのクリスマスアルバムを買うことができた。店を出て凱旋門に向かって左側を歩き、シャンゼリーゼ大通りを登りきると目のまえに凱旋門。凱旋門の目と鼻の先にある深夜営業のプュブリック・ドラックストアに行き夜食を仕入れた。ここはパリへ行くと必ず訪れるお気に入りの店である。

帰りは凱旋門を背にして右側の通りをイルミネーションの川下りのような気分で歩き、フーケで少し気取って. Un café s’il vous plaît.!でしばしパリのムッシュ気分を味わいホテルにたどり着いた時は日付が変わり25時を廻っていた。フロントのエリザベスがウインクで迎えてくれた。ぶらぶら歩きの距離は4キロをはるかに越えていただろうに不思議なくらい疲れを感じなかったのは“パリdeクリスマス”そして、お気に入りのクレモンティーヌを手に入れたお蔭だったのかもしれない。お気に入りの音楽は元気パワーをくれる。音楽力の不思議である。


パリへ行くと必ず此処でパチリ!

2・クリスマスカラーで、色を感じる音楽遊び・・!

私のラジオ番組「ざいつきげんの音楽鍋」では、毎年10月の最終日曜日の番組から何処のラジオ局よりも早くクリスマスソングを鍋に入れ、12月第二週の日曜でクリスマスソングは翌年迄封印とするが、24日25日が日曜日の場合は「ホワイトクリスマスときよしこの夜」だけ鍋に入れている。これは音楽鍋的音楽遊び。ラジオ番組に限らず何事にも遊び心と一工夫が私のポリシーなのだ。

鵠沼公民会主催の人気講座「在津紀元の音楽元気講座」の12月はクリスマスバージョンのプログラムとなり、今年の16回目は、「クリスマスソングの名曲を、19人19色の名唱名演で聴く元気講座」として12月19日に開催する。選曲構成やプログラムはかなりの時間をかけてすでに完パケ状態で当日を待つだけ。これもまた私にとってスリリングな楽しみな音楽遊びでもある。
そこで、2020年12月20日に行った「クリスマスの名曲を聴く音楽元気講座での、トーク素材と選曲遊びの一部を紹介しよう。クリスマスカラーと云えば、「赤・緑・白・ゴールド」の4色。クリスマスカラーには、それぞれ意味があるので改めて紹介しましょう。



・「緑」は、常緑時の緑で、永遠の命を表している。
・「赤」は、イエスキリストの流した血の色で愛を表している。
・「白」は、クリスマス時期に降る雪で、純潔と春を待つ希望を表している。
・「ゴールド」は、ベツレヘムの星と呼ばれ、キリストが生れた時東の空にひと際輝いた星を表し高貴さと大切さを表現している。


正岡子規の名句「柿食えば 鐘は鳴るなり 法隆寺」には、五感のすべてが表現されており時は流れても詠み人の心を豊かにし、季節を巧みに表現していて見事である。

音楽が聴く人の心を揺さぶるのは、音楽には正岡子規の名句以上に五感を刺激する魔力が潜んでいるので聴く人は音の世界に引き込まれてしまう。そこで、数あるクリスマスソングの中から、わたし流の遊び心で選曲したクリスマスソングを私なりの感覚でそれぞれに分類してみたので。その一部を紹介しましょう。


「緑色」を感じるクリスマスソング
・ベビーフエイスの、ザ・クリスマスソング
・エリック・マーティンの、クリスマス・イブ

「赤色」を感じるクリスマスソング
・フランク・シナトラの、クリスマス・ワルツ
・マハリア・ジャクソンの、きよしこの夜

「白色」を感じるクリスマスソング
・サラ・ブライトマンの、ハッピー・クリスマス
・ドリス・デイの、シルバー・ベルズ

「ゴールド」を感じるクリスマスソング
・マイケル・ボルトンの、もろびとこぞりて
・クリス・レアの、ドライブング・ホーム・フォー・クリスマス


スピーカーから流れてくるクリスマスソングを聴きながら自分なりのクリスマスカラーをイメージしながらお聴きのなるのも音楽と色彩のイメージ遊び・・五感を刺激する音楽の楽しみ方である。

当日の受講者にはそう伝えながらクリスマスソング三昧を楽しんで頂いた。

先日、友人と久々に銀座で食事をしながら話題が音楽の話で弾んだとき、音楽には不思議なパワーがあります。その時代時代を彩った音楽を聴くと脳がイキイキ!音楽は副作用のない生薬まさに心のビタミン。まさに心の湯たんぽです。

執筆者プロフィール
在津 紀元 Kigen Zaitsu
1964年東洋大学社会学部卒業と同時にコピーライターとして広告界へ。
マーケティング&クリエイティブ会社を立ち上げマーケティング戦略企画やイベントの企画構成演出を多岐にわたって手がける傍ら、専門学校の常勤講師や大学等で講義や講演、執筆活動などコミュニケーションマルチプレイヤーも70歳で現役を終えた。
現在は、情報発信を続けることで様々な刺激を受けながら雑文の執筆や、忘れたころに依頼される時々の講演や、レディオ湘南で毎週日曜日の『ざいつきげんの音楽鍋』のマイクに向かっている。
ミニFM局時代が13年。レディオ湘南で26年。通算すると地元でマイクに向かって39年。伝説のDJと云われている由縁である。

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