音楽と遊び心とひと工夫・・・ 人財産という蓄財は、「自由人会議」にあった!
2026年2月3日
執筆者: 在津 紀元

何事も三つ!が、助けてくれます

50代半ばの頃から年に数回、馴染みのレストランの閉店後、デザイナー・食品メーカーの二代目・広告業界・編集者・タクシードライバー・音楽家・調理人・商社マン・欧米からのビジネスマン・ミステリアスな先生・噺家・自動車のセールスマン等、気心の知れた多士済々の面々を対象に、出席可能な者が三々五々深夜の「自遊人会議」と銘打って足を運んで楽しんでいた。

当時、新しい何かを探り当てようといった狙いで、多様な異業種交流会が行われ始めていた。「起業を目的とした情報交換」「複雑化している社会経済環境の観察や情報収集」「人間関係を広げる事を目的としたビジネス交流会」、等が当時のトレンド。野次馬的探究心と、新しい何かを求めてクリエイティブディレクターの持田君を誘って幾つかの異業種交流会に参加したことがあった。
様々なスタイルで行われている各種交流会は、新たなビジネスへと発展の兆しも見え始めていたようだが、会が始まると主催者の挨拶と趣旨説明。続いて参加者の自己紹介が型どおり終わると、事前にデータで提出していた参加者の会社紹介や事業PR等がスクリーンに投影。ひと通り終わると名刺交換会~懇親会(コミュニケーションタイム)。これが定型的なパターンであった。
ヒリヒリしたエネルギッシュな会場内の雰囲気を期待していたのだけれど、何かを得なければという意識なのか、コミュニケーションのきっかけが掴めないのか、盛り上がらない空気感が全体に漂っていた印象だった。しかし、近年では目的意識が明確で異業種交流会そのものが、目的に沿ったものへと進化し、ビジネスマッチング等、若い世代の間で本格的な起業を目的としたビジネススタイルとして活発になっている様だ。
>或日、異業種交流会潜入の帰り道に、相棒と並木通りの馴染みのジャズバーに立ち寄った。広告の世界にどっぷり浸かっている我々にはチョットなじめなかったね!と、話もどこか弾まなかった。異業種交流会に参加して様々なネットワークを広げることも大切だけれど、ビジネスに関わらず様々な人生の中で築いた人間関係の輪も、人間歳を重ねると狭まってくる。現役を終える頃になると人の輪は一気に狭まり希薄になってくる。利害関係の無い気心の通じ合う人間関係は貴重な人財産であるが、人財産の確保は現役を終える前から考えておかなければ、難しい・・そんなことを話しながらグラスを傾けていた。
そこでひらめいたのが、仕事はもとより様々な人間関係から広がった友人知人達に声を掛け、互いに異なった環境の中で日々を過ごしている空気感からそれぞれが何かを感じる “人間コラボレーション”を楽しもうというミドルの遊び心。
その道の達人が集うことで、忘れていた事、気が付かない何か等新たな発見があるかも知れない。これが「人財産」を築く原資となるのではと閃いたのが「自由人会議」であった。「自由人会議」の趣旨を説明しに賛同した5名を核にしてスタートし、毎月1回のペースで6年間続き、趣味の話、仕事の話や新たな取り組み、趣味の話など枚挙にいとまがない3時間はエネルギーの新陳代謝に格好の時間だった。

「自遊人会議」のシンボル!オリジナルピンバッチ

86歳になった今も「自遊人会議」で培った三人との人財産交流は何よりも貴重品である。
「自由人会議」でのエピソードを紹介しておこう、台風のような豪雨に見舞われた影響で、出席者が少なかったある日のことである。この時の持ち回り幹事はLAのマジックキャッスルに出演した経歴を持つプロのマジシャン。この日の話題はもっぱらマジックの世界。彼曰く、マジシャンとは、不思議と意外性を売り物にする、非正規で不定期な環境でうごめいている指先労働者だと、自虐的な表現紹介で笑わせてくれた。
日本のマジシャン(奇術師/手品師)というのは、「色物」といって寄席等の演芸場で寄落語や講談以外の芸の事。主に漫談、手品、御神楽や曲芸など寄席をの彩りとなる演芸です。つまり、寄席で落語と講談以外の芸はすべて「色物 」というポジションではあるが、日本のエンターテインメント界の多様化から仕事をする環境も多岐に広がりつつありエンターテインメントアイテムとして進化しているというものの、欧米と比べるとマジシャンのステージは未だ大きな差がある。
欧米でマジシャンといえばアクター-というポジションで一目置かれており、世界の活躍している日本人マジシャンも多い。でも日本は未だ「色物」から脱皮していないのが少し残念。ひとしきり、国内や海外でのマジシャン事情や観客の反応の違いを始め、ここだけの話的エピソードを1時間ほど巧みな話術を堪能しながら彼の若かりし頃のエピソードが語られた。20代後半の時パンナムで米国へ旅だった時のこと。学生時代からマジックが趣味で遊んでいた彼は、羽田を発って1時間経った頃、何かのきっかけでスチュワーデと話すチャンスがあり、その時彼が私はI’m a magician!といって、コインマジックを見せた。3時間ほど経った頃にスチュワーデが、キャプテンがマジックを見せてほしいのでコックピットへ!と案内された。これがプロのマジシャンを目指す引き金となったそうだ。
彼が、簡単なマジックを3種類教えるのでマスターすると皆さんは今夜からマジシャン!といって早速レッスン。何故3種類かと云うと、1つ目のネタは、デビューマジックとして、鮮やかな手さばきで2~3回披露し相手を驚かせる。すると、必ずアンコールの声がかかり、2つ目のネタを見せる。これで今日はお終り。3つ目はどうしてもの場合に備える隠しネタという訳だ。是で相手はマジシャンだと確信。
カラオケで唄うときの持ち歌も3曲!ですよ!といって、マジックレッスンが終わった。すると、誰かが「3」という数字は奥が深いね。何事も人生3割論・難しい授業も3を取っていればOK。商売は原価も仕入れも荒利益も3割が基本。Mrプロ野球の背番号は3番。人生の中で気心の通じ逢える親友人は3人で十分。
某有名芸能プロダクションで売り出し中の新人タレントの教育アイテムに、好き嫌いに関係なく「食べ物・音楽・愛読書本・色・好きな場所・最近もっとも興味のある事」等、3つを常に答えられるよう頭に入れておくように指導していた。この狙いは、新人がインタビューで必ず質問されるごく一般的なアイテムに対して瞬時に答えられる為の訓練。インタビューで言葉が詰まるとそれだけアピールするチャンスを逸するという対策で、何事にも答えは3つ用意する。タレント事務所によっては今も続けていると聞いている。私の場合でも、ラジオ番組や講演の場合、話題(ネタ)は常に3タイプを準備してる。なに事もまさかの時の備は3っということである。

在津 紀元~(chat GPT)で。

在津紀元は、若き日はコピーライター・プランナーとして企画書とプレゼンテーションに追われ乍ら、常に音楽と言葉に親しみ、現在もなお文筆や講演等多方面で活動を続けている。現役として日本で最年長のラジオのDJでもある。
年齢を重ねるごとに深まる感性とユーモアを武器に、時代や世代を軽やかに越えた選曲と語り口で聴く人々を魅了している。「遊び心で~老いず、休まず」を地で行くその姿勢は、音楽を愛するすべての人への静かなエールでもある。

執筆者プロフィール
在津 紀元 Kigen Zaitsu
1964年東洋大学社会学部卒業と同時にコピーライターとして広告界へ。
マーケティング&クリエイティブ会社を立ち上げマーケティング戦略企画やイベントの企画構成演出を多岐にわたって手がける傍ら、専門学校の常勤講師や大学等で講義や講演、執筆活動などコミュニケーションマルチプレイヤーも70歳で現役を終えた。
現在は、情報発信を続けることで様々な刺激を受けながら雑文の執筆や、忘れたころに依頼される時々の講演や、レディオ湘南で毎週日曜日の『ざいつきげんの音楽鍋』のマイクに向かっている。
ミニFM局時代が13年。レディオ湘南で29年。通算すると地元でマイクに向かって42年。伝説のDJと云われている由縁である。

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